ハンモックには前々からキャンプ道具として興味があったがなかなか購入までは踏み切れずにいた。
トラベルシーツで有名なコクーンから蚊帳付きの軽量ハンモック「ウルトラライト モスキートネット ハンモック」が発売されていることを知る。
軽量、コンパクト蚊帳付きで値段も1万円ちょっと。
ストイックすぎることもなくハンモックの入門にはちょうど良さそうということで購入を決断。
今回は結構長いので結論のみさっと知りたい人は目次を利用してまとめを見てね。
購入金額、重さ、サイズ比較など
楽天の楽山荘で税込11,550円で購入。
重量は実測で474g(ちなみにメーカー公称は395g、実測は80g近く重い)
収納袋はコンパクトでぴっちり収納されているが縫い付けられたジッパーを広げると取出し口が広がりスムーズに出し入れできる。
正直ウルトラライトを謳う製品としては相応しくない機能だが重量よりもどちらかといえば収納サイズが問題になりがちなバイクへの車載を考えるとあっても悪く無い機能かもしれない。
注意書きや設営方法が書かれたタブが縫い付けられている。
ざっと目を通して気になるところは洗濯できることと耐荷重が140kgというあたり。
付属のカラビナは20g。
一般的なクライミング用のカラビナに比べると耐荷重が半分の12KN(約1.2トン)だがその分小型でゲートのフックも小さく引っかかりが少ない。
意地悪く見るとサイズも重さも中途半端なカラビナだ。
購入者が交換する前提で汎用品を使ってコストカットといったところだろうか。
木とハンモックをつなぐツリーストラップなどは付いていないので別途用意する必要がある。
500mlのペットボトルと比較。
上記画像はカラビナを小型のクイックリンクに交換した後のものだけど大差は無いのでご参考に。
公称重量に比べ実測重量がかなり重いのはいただけないが値段から期待する以上の品質を感じる。
より軽量コンパクトなハンモックはいくつもあるが蚊帳付きでここまで軽量コンパクトで1万ちょいの値段で買えるハンモックはなかなかないと思う。
ハンモックを設営してみる
ハンモック本体と設営用のロープとカラビナなど。
バイクの引上げ用に車載しているロープを適当な間隔に生えた木の間にトラッカーズヒッチで張る。
引上げ用のロープを車載するようになったのもハンモック購入理由の一つだったりする。
樹木とスリングの保護に1mm厚のゴムシートを使ってみる。
木に巻いているロープスリングは太さ6mm3つ打ちのナイロンロープをフィッシャーマンズノットでリング状にしたものを利用。
クライミングなどではより信頼性の高いダブルフィッシャーマンズノットが推奨されているようだが命がけの状況は想定していないので結び目が小さく済むフィッシャーマンズノットを使っている。
トラッカーズヒッチのブレーキ部分はガルダーヒッチで。
通常のガルダーヒッチだとハンモックに乗ると体の重みにブレーキが足りずロープの張が緩んでしまうのでひと巻き増やして対応。
ズレはなくなったがガルダーヒッチ部分の抵抗が増えるためトラッカーズヒッチでロープを張るときにより大きな力が必要になる。
反対側はロープ末端のシンブルをシャックル使ってロープスリングに接続。
スリングとシャックルなんか使わずにガースヒッチや馬結びとかで十分だと思うがバイク引上げ時の支点構築の練習も兼ねてちょっと凝った道具や結びを使っている。
トラッカーズヒッチの折返しにpetzlの簡易プーリーを使ってみたがガルダーヒッチの摩擦による損失が大きすぎるのか効果の程を実感できない。
トラッカーズヒッチやガルダーヒッチについて知りたい人はこの動画が参考になる。
張ったロープにフリクションノットを使いハンモックを吊るす。
ハンモックの両端を結ぶリッジラインのおかげで初めてでもハンモックがちょうど良い角度になる。
フリクションノット部分はこんな感じ。
引上げ用のロープが細く滑りやすい素材なのでフリクションノットの摩擦が効きづらい。
はじめは左のナイロン素材のフリクションコードでプルージックを結んでいたが摩擦が弱いのでより細く短めのコードを使う。
細く表面が荒く伸びの少ないコードを使い、巻く回数を増やすと摩擦が良く発生するようだ。
また、なるべく短いフリクションコードを使うことでフリクションコード自体の伸びを減らすことができる。
今は太さ2mmでダイニーマ芯をポリエステル外皮で包んだコードを使い付属のカラビナをクイックリンクに変えて吊っている。
ハンモックだけだと日差しや樹上からの落下物が気になるのでタープも合わせて設営してみる。
ハンモックを吊るしたロープと一緒にタープもフリクションノットで吊るす。
タープは一辺が約260cmあるスクエアタイプのSwing Tarp。
多少の雨ならしのげそう。
日除け目的ならもっと上にタープを張ったほうが暑さをしのげそう。
一本のロープでハンモックとタープを設営できれば設営時間を短縮でき装備も減らせるかと思ったのだがなかなか難しそうだ。
トラッカーズヒッチで張ったロープをタープのリッジラインとして使う分には全く問題ないのだがハンモックを吊るそうとするとかなり強固にロープを張る必要がある。
ロープの張が緩いとハンモックに体重を乗せると沈み込んで地面に着いてしまう。
また、ハンモックが沈み込むときにタープも一緒に沈み込むのでタープの張が緩んでしまう。
まだまだ工夫の余地はありそうだがハンモックはタープとは別にツリーストラップを使って設営するほうが荷物は増えるが効率的かつ確実に設営できそうだ。
あえてこの設営方法の利点を上げるなら長いロープを準備すれば木や柱の間隔が広い場合でも設営できる点だろうか。
タープの片側をポールで上げてみる。
開放感UP。
ひと仕事終えたので昼食にサンドイッチを食す。
ハンモックでくつろいでみる
ハンモックに寝そべってみる。
浮遊感が癖になりそう。
ハンモック生地の肌触りが心地いい。
ウルトラライトを謳うだけありシンプルな作りで内側にポケットなどはなし。
収納袋が本体に縫い付けられてあるので設営後に小物入れとしても使えるが蚊帳を閉めた状態では出し入れは出来ない。
リッジラインにドリンクホルダーをぶら下げて小物入れ代わりにしてみる。
収納に関してはリッジラインを使えば工夫次第でどうとでもなりそう。
ハンモックの生地はリップストップナイロン。
初めて見るパターンのリップストップ(引裂き防止)補強だ。
このパターンのおかげでハンモックに最適な向きの伸縮性が得られるらしい。
こちらは今回利用したタープのリップストップ。よく目にする格子状のタイプ。
寝そべるだけではなく腰をかけるベンチにもなるがジッパー部分が固く伸縮性が少ないので膝の裏へのあたりが強い。
空中に浮くので地面の状況を選ばないハンモックだが裸足で過ごすならグランドシートを敷いたほうがなにかと快適。
中にマットと枕を入れてみる。
横になると腰の部分が沈み足と頭が上がるので枕があると頭の位置が腰よりもかなり上になる。
寝るというよりはソファーでくつろぐような格好だ。
ファスナーは滑りがよくタブもつかみやすい。
足でも開け閉めできるぐらいだ。
蓄光素材の白タブと黄色いコードで暗いところでも視認性が良い。
晴れた日に光を蓄えた蓄光素材は深夜12時を過ぎてもぼんやりと光り続けていた。
ダブルファスナーの隙間。
完全には閉まらないので極小の虫が入る可能性が皆無とはいえないが気にするほどでは無いだろう。
蚊帳(モスキートネット)について
蚊帳を閉めてみる。
テントの中に入ったような安心感がある。
まっすぐ寝ると蚊帳が垂れ下がってくる。ちょっと風が吹くと顔に触れるぐらい。
油断すると蚊帳の上から蚊に刺されそう。
蚊帳はかなり細かく密で日差しや風もある程度さえぎる。
蚊帳を開けると風の流れが良くなるのを感じる。
外から見た場合の透け具合はまじまじとのぞき込まないと顔の表情までは読み取れない程度か。
蚊帳はサイドオープンなので使わないときちょっと邪魔。
蚊帳をリッジラインに洗濯ばさみで留めてみる。
洗濯ばさみで挟んだ部分が歪んでしまった。
もうちょっとあたりの優しいもので留めたほうが良さそうだ。
蚊帳が鬱陶しいので裏返してみたがあまり違いはなかった。
多少蚊帳の位置が横にずれるが蚊帳を使う場合は再度ひっくり返さなければならない割には大した差はない。
両サイドのタブを引いてハンモックの横幅を拡張してみる
両サイドに小さなタブが4つずつ付いている。
何のためにこのタブが付いているのかパッケージにもCocoonのサイトにも説明がない。
おそらく左右に引いてハンモック内のスペースを広げ揺れを抑えるためのタブだと思われる。
タブにひもを通し引いてみる。
左右に広がり内部の空間を広く取れる。
内寄りタブよりも外寄りタブを引くほうが空間が広がるようだ(写真の左側は外寄り、右側は内寄りのタブを引いている)。
4つすべて引くと更に広がる。
垂れ下がった蚊帳が顔や足に触れると蚊帳の上から蚊に刺されるかもしれないがタブを引いて設営すればそういったことを防げるだろう。
また、タブを引いて空間を広げると蚊帳を空けたときの開放感も広がる。
4つのタブ全てにひもを通すのは面倒なのでカラビナを使ってみる。
更にカラビナをお手製の簡易ソフトスリングに変えてみる。
ペグダウンした末端にはゴムバンドを使いテンションがかかり過ぎないようにした。
自在金具でひもの長さを調整できるようにして最終的にはこんな感じで落ち着いた。
一泊してみる
風と夜露対策でタープの両側を下ろしておく。
ハンモックの中にマットを敷いてダウンの上下を着込んでシュラフカバーへ潜り込む。
夜のハンモック内。
蚊帳と左右の生地の立ち上がりに囲まれちょっと圧迫感がある。
この日は風が強くときより風でハンモックが揺れる。
夜の気温は15℃前後から明け方には12℃ぐらいまで下がったようだ。
ハンモックに接する部分はダウンのロフトが潰れてしまうので薄いハンモック生地を通して寒さがガンガン伝わってくる。
特にマットからはみ出した肩や上腕あたりが寒いのでレインウェアや着替えの下着や靴下などを当てて寒さをしのいだ。
晴れて風が強かったせいか冷えた割には夜露朝露に降られなかった。
明け方。
慣れないハンモック泊、圧迫感や揺れや寒さであまり眠られなかった。
日が昇りタープを上げると打って変わった開放感。
くつろぎのひとときを満喫。
昼過ぎまでうつらうつらと夢見心地ですごす。
撤収
まずはタープを残したままハンモックを仕舞う。
収納袋のサイドジッパーのおかげで端から端へスルスルとコンパクトに収納できる。
残りの荷物を撤収し。
タープとグランドシートを回収して撤収完了。
ロープとタープ以外はタープを張ったまま撤収できるので雨の日の撤収はテントより楽にできそうだ。
ガルダーヒッチをリリース後のロープ。
噛み込んでいた部分がよれて潰れているが直に問題が出ることはなさそう。
ハンモックをつないだプルージックがあった箇所。
跡がついてささくれもあるがすぐに問題になるほどでも無いだろう。
1mmのゴムシートではツリープウェアとしては力不足のようだ。
ゴムシートならシートバックの下に敷いて滑り止め代わりにもなるかと思ったが別の方法を考えないといけないようだ。
初めてのハンモック泊の雑感
正直言ってツーリングメインのキャンプツーリングでの使い勝手はあまり良くはなさそうだ。
まずツーリング中にバイクで乗り入れられる範囲でちょうどいい間隔に生えた木を探すのはあんがい難しそうだ(林道だと道をまたぐように設置するのがちょうど良かったりするのだが夜の未舗装林道だとしても流石にそれはねぇ…)。
また、寒さや風雨をしのごうとするとハンモック用の寝袋や大型タープなどが必要で荷物が多くなり設営と撤収にかかる時間も増えそうだ。
しかしハンモック自体が目的なら悪くない。
特にオフロードバイクはハンモックに適した場所へのアプローチに最適な乗り物だろう。
実際あの林道のあの場所でハンモックを張って一日過ごしてみたい!
なんて場所がいくつかある。
まとめ
Cocoon ウルトラライト モスキートネット ハンモックはこんな人におすすめ
- 蚊帳付きで軽量なハンモックが欲しい人
- 夏に縦走やスルーハイクなどで連泊しながら徒歩で樹林帯を通過する人
- ハンモック泊が目的のキャンプツーリングをしたい人
タープと組み合わせることで夏季限定ならかなり軽量でコンパクトな就寝システムが構築できると思う。
蚊帳付きで全長が長く幅も広いのでハンモック自体が体に合えば快適に寝られると思う。
おすすめしない人
- 日帰りオンリーで宿泊は考えていない人
- 軽さやコンパクトさよりも丈夫であることや安さを重視する人
- ハンモックは全くの初心者で設営方法や必要な道具を自分で調べたり工夫する時間のない人
宿泊しないなら蚊帳はいらないし邪魔だと思う。
軽さが売りな分強度はある程度犠牲になっているのでちょっとした突起物や焚火の火の粉などで切れたり穴が空いたりすると思う。
特に子連れでの利用は避けたほうが無難なんじゃないかな。
ツリーストラップが付いていなかったり蚊帳の内側に収納用のポケット類が無いなど全くの初心者は事前に調査しないと現地でとまどうかもしれないのでツリーストラップなどが全部セットになったものを買うほうが時間を節約できるかも。
また、値段だけ見れば蚊帳付きでもっと安くツリーストラップも付いているハンモックが存在するのでお試しでそういった安いハンモックを買うのもありだと思う。
Cocoon ウルトラライト モスキートネット ハンモックの利点と欠点
ハンモック全般の利点と欠点
商品紹介リンク
下記リンクから買ってもらえるとサイト運営費(主にサーバ代)の足しになるのでよかったら。
Cocoon ウルトラライト モスキートネット ハンモックトラベルシーツで有名なCocoonの蚊帳付きの軽量ハンモック。
ハンモック泊が目的のキャンプツーリングをしたい人におすすめ。
蚊帳いらないならこっち。
上記の2点はツリーストラップがついていないので単体だと設営ができない。
ロープワークとか面倒くさいことしたくないなら別途専用品を購入したほうがいい。
ちょっと癖はあるけどCocoonから販売されているハンモックストラップULが軽量コンパクトでおすすめ。
おすすめの軽量コンパクトなハンモック。
実測158gでザックのサイドポケットに収まるぐらいコンパクトに収納できる。
これだけ軽量コンパクトなら常時車載してツーリング先の休憩時にイス代わりなんて使い方も出来ると思う。
また、よほど大柄な人以外はベッドにして寝られるだけの面積が確保されている。
Cocoonの ウルトラライト ハンモックに比べると幅が狭いけれどその分沈み込みが少なく就寝時の圧迫感は少ない。
極薄の生地は通気性が良好でとても涼しく肌触りも良い。
欠点は耐久性が見るからに乏しいこと。
ちょっとした突起物や火の粉で簡単に穴が空きそのまま裂けてしまう可能性が高そうなので注意が必要だろう。
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