FREELIGHTから購入したシルナイロン製のタープSwing Tarpにホームセンターで買ったシリコンシーラントでシーム処理(シーリング、目止め、縫い目の防水)してみたので備忘録も兼ねて記述したいと思う。
Swing Tarpは縫い目にシーム処理が施されていないので雨の日などに縫い目から水がしみてきてしまう。
実際、今年の5月にタープ泊した時雨に振られて雨漏りした。
基本タープ泊をするときはシュラフカバーを使うので体が濡れることはなかったがやはり雨漏りするのは不便で不快。
ということでSwing Tarpにシーム処理を施することに。
シーム処理の方法
防水生地で作られたテントやタープ、レインウェアも縫い目があればそこから浸水してしまう。
これを避けるため縫い目に防水処理をほどこすことをシーム処理という。
他にも目止めやシーリングなどと言ったりもするようだ。
シーム処理の方法はおもに二通りある。
店舗やネットで販売されているメーカー製の商品はほとんどの場合防水テープを縫い目に貼り付ける方法でシーム処理している。
一方、個人でシーム処理する場合は接着剤のようなシーラントを縫い目に塗って水を通さないように加工することが多いようだ。
おそらく大量生産にはテープが向き個人が少量行う場合はシーラントが向くのだろう。
自分も今回はシーラントを使って防水処理を行うことにする。
シルナイロンに使えるシーラント
ナイロンにシリコンを染み込ませたシルナイロンは軽く防水性に優れた素材だがシリコン同様ものがくっつきづらいという特性がある(料理や製菓で使われるシリコンのヘラにソースや生地がくっつかないあれ)。
シルナイロンのくっつきづらいという特性はアウトドアユースで多くの利点がある一方厄介な欠点もある。
それは穴が空いたり破けたりした場合に補修が困難な点。
ほとんどの接着剤はシリコンにくっつかないのでシルナイロン製の製品を接着シートやシーラントで補修しようとしてもすぐに剥がれてしまうのだ。
そこでシリコンにはシリコンということでシルナイロンの補修やシーム処理にはシリコン系の接着剤を使ったものが利用される。
アウトドア用品向けの専用品も売られている。
ホームセンターで売ってるシリコーンシーラント
先に紹介したアウトドア用品向けのシリコンシーラントは量の割に値段が高い。
ちょっとした穴などの補修であればちょうどいいかもしれないが今回は260cm四方のタープへのシーム処理になるので量が必要。
そこでホームセンターなどで売られているシリコンシーラントを利用することを思いつく。
ホームセンターで330ml \228円(税別)。
シームグリップ+SIL(旧SILNET)に比べると圧倒的な価格差だ。
シーム処理を行うための道具と素材
左上から時計回りに
- ペイント薄め液
- エプロン
- シリコンシーラント
- マスキングテープ
- 除菌ウェットティッシュ
- クッキングペーパー
- ゴム手袋
- ベビーパウダー
- 薄め用の容器
- 刷毛とヘラ
野外でやるならシーラントを薄める容器は蓋が出来る方が便利。
マスキングテープは結局使わなかった。
家にあったキッチンペーパー以外はホームセンターと百均で購入し全部で1,000円程度だったと思う。
写真には写っていないが上記以外にシリコンシーラントを押し出すためコーキングガンが必要。
シーム処理作業
タープは広げた状態で作業する
家には中型タープを広げるスペースが無いので公園の隅っこに敷いて作業を開始。
シーム処理をタープの表にするか裏にするか悩んで裏側に施すことにする(結局後日表側からもシーム処理を行った)。
縫い目の洗浄&脱脂
シーム処理する縫い目部分をアルコールを含んだウエットティッシュで清掃&脱脂する。
ウェットティッシュだと脱脂洗浄力が低い上にアルコールと水以外の成分が含まれていることがあるのでアルコールをウェスなどに染み込ませて拭くほうが良かったかも(今後やる機会があったらそうする)。
How to Seam Seal Silnylon Tarps and Tents
という記事内にシーム処理前にアルコールで縫い目をクリーニングするというそのものズバリの内容にたどり着いた。
Start by cleaning the seams with rubbing alcohol and allow to dry.
まずは消毒用アルコールで縫い目を洗浄し乾かします。
といったところか。
太字は筆者
参照元:https://www.gearaid.com/blogs/learn/seam-sealing-silicone-tarps-and-tents
rubbing alcoholというのは消毒用の濃度が50~80%程度のエタノールを指すと思われる。
シリコンのアルコールへの耐性を調べると強くも弱くも無いと言った感じなので純度が99%以上のアルコール(洗浄用のイソプロパノールや燃料用アルコールなど)を使った場合にどうなるのかは若干不安なところではある。
ただ、Gear Aidが推奨する方法とほぼ同じ手順で行えていたようなので少し安心した。
シリコンシーラントをペイント薄め液で薄める
そのままだとシーラントが濃すぎて作業性が悪いのでペイント薄め液で薄める。
濃度は作業しながら調整していき最終的には蜂蜜よりも若干ゆるい程度に落ち着いた。
シリコンシーラントでシーム処理(シーリング、目止め)する
シーラントを塗る作業で毛とスポンジの刷毛両方使ってみてたところスポンジの刷毛が使いやすかった。
塗りたい幅にあったスポンジの刷毛を使うと同じ幅で均一に塗りやすいと思う。
難点はペイント薄め液で接着剤が溶けてしまうのか塗ってるうちにスポンジがすっぽ抜けてしまう。
タープ中央の縫い合わせの部分が塗り終わった。
初めてにしては上出来ではないだろうか。
タブ周りもシーム処理する。
タブがひっつかないよう乾く前にヘラで浮かせてやる。
ループが小さいタブはプラ紐を抜き差しして処理。
タブ周りは防水性重視でなんども重ね塗りしたせいか見た目がイマイチの出来栄えになってしまった。
シリコンシーラントを乾燥させる
一通り塗り終わってシリコンシーラントが乾くまで休憩。
3時間ぐらい放置。
完全に乾くにはまだまだ時間がかかりそう。
半乾きの状態にベビーパウダーをはたく。
こうすることで半乾きの状態で収納してもくっつきづらくなる。
タブにもパウダーをはたいておく。
これで一通り作業完了。
後は家でシンナー臭が収まるまで3日ほど陰干してから収納。
べとつきを感じなくなるまで乾くには1週間以上かかったと思う。
完全に乾く前に収納袋に詰める場合はベビーパウダーなどをふっておいたほうが無難だと思う。
ホームセンターのシリコンシーラントあれこれ
シリコンシーラントの安全性
メーカー曰く浴槽内には使わないほうが良いらしい。
浴室に使う分には換気を気をつければ大丈夫とのことなのでタープのシーム処理に使う分には問題ないだろう。
コストパフォーマンス
シリコンシーラントやペイント薄め液、刷毛や容器など全部合わせて1,000円程度しかかからなかったと思う。
タープの表も裏もシーム処理したがシリコンシーラントは半分以上残っている。
今後の耐久性次第ではあるがシームグリップを使った場合に比べるとかなり安く出来たと思う。
シーム処理後の防水性
後日雨の中タープ泊を行ったが雨漏りすることはなかった。
経過報告
Swing Tarpにホームセンターで買ったシリコンシーラントでシーム処理をして4年以上経過したが剥がれることもなくしっかりと防水できている。
塗った当初に比べると若干黄ばんだ色合いになった。
拡大。
縫い目にしっかり染み込ませるのが重要なようだ。
タブ周りも剥離などは見当たらい。
形状が複雑な端の部分に剥離が見られた。
あまり厚く塗るとかえって脆く剥がれやすくなるようだ。
形状の複雑な部分は薄めにして塗ったほうが上手くいくかも(そもそもこの辺はシーム処理する必要がなかったとは思うが)。
表裏両方からシーム処理を施すならシーラントを薄めに溶いて縫い目に染み込ませるように塗るのがキレイで長持ちするコツかも。
商品紹介リンク
下記リンクから買ってもらえるとサイト運営費(主にサーバ代)の足しになるのでよかったら。
セメダイン シリコーンシーラント 8000 クリアセメダインのシリコーンシーラント。
セメダイン曰く、シリコーンシーラント8000、8060、8060プロ、8090は販売経路の違いで中身は同じだそうだ。
セメダイン シリコンシーラント 8070プロ クリア防カビ剤入りのシリコンシーラント 。
今の所カビなどは発生していないがタープを濡れたまま収納することもあるので防カビ剤入りの方が良かったかなと思っている。
シリコンシーラントはそのままだと濃すぎるのでペイント薄め液で薄めたほうが塗りやすい。
シリコンシーラントを容器から取り出すのに必要。
毛とスポンジのブラシを使ってシーム処理したが塗りたい幅と同じサイズのスポンジブラシが使いやすかった。
ペイント薄め液で接着剤が溶けてしまうのかスポンジが柄からすっぽ抜けてしまう事があるので何本か用意したほうがいいかも。
ジョンソン&ジョンソン ベビーパウダーシーム処理後はしばらくの間ベトつくので長い期間干しておけるスペースが無いならベビーパウダーまぶしてから収納すると張り付いたりしづらくなる。
原料にコーンスターチなどが含まれていると湿気でベトつく原因になるのでタルク100%の製品を選ぶのがいい。
ベビーパウダーである必要は無いが安くて入手しやすくパフも付いていて便利。
シーラントもペイント薄め液も刺激が強いのでゴム手袋をしたほうがいいと思う。
ニトリルゴム製の手袋はシンナーやオイルに強く手にフィットして作業しやすい。
バイクや車の整備などにも便利。
ネット通販ではまとめ買いが基本なので大量に使うあてがないならホームセンターなどで買った方が割安かもしれない。
シーラントを薄めるためのヘラと容器割り箸とか空き缶とか代用品はいくらでもあるけどなんだかんだ専用品は使いやすい。
代用品を使う場合はペイント薄め液で溶けたりしないものを選ぶ必要がある。
仕上がりや耐久性にこだわりたい人はしっかり洗浄、脱脂してからシーム処理したほうが良いだろう。
IPA アルコール 99.9%脱脂洗浄の方法は色々あるけど脱脂作用が強くすぐ乾くIPA(イソプロピルアルコール)を使うのが簡単。
目に見える汚れを落としたらIPAをウエスなどに付けて拭き上げ脱脂洗浄する。
アルコールに溶けたり色落ちしたりするものもあるので注意は必要。
シリコンはアルコールに強くも弱くも無いと言ったところなので消毒用アルコールと同程度(50~80%)の濃度まで水で薄めて利用したほうが良いかもしれない。
汚れがひどい場合はIPAを使うよりも中性洗剤でしっかり洗うほうが良いと思う。
IPAは消毒用アルコール(エタノール)よりも脱脂作用が強いらしいので肌が弱い人はゴム手袋を利用するなどしたほうがいいかも。
燃料用アルコール燃料用アルコールにも脱脂作用はある。
アルコールバーナーなどで燃料用アルコールを利用している人は一考する価値はあると思う。
ただ、燃料用に利用されるメチルアルコールは飲料用や消毒用のアルコールに比べ毒性が強いので使用は自己責任で。
コメント
参考にしてシリコン塗布をしていて、糸と縫い目に集中して染み込ませるだけでいいのでは思う。シームテープの場合は接着する面積を確保しないと剥がれてしまうのである程度の幅が必要だが、シリコン塗布の場合はその心配はないのでポイントを絞って塗布することで作業性や材料の使用量、さらにシリコンが他に付く量も抑えられた上に、防水できて剥がれの心配もなく見た目もいいのでは考える。
次回、別のテントで試してみようと思う。
生地の防水劣化の場合は傷んだ所を防水スプレーの様に面で塗布する必要があるがこの方法で全体を塗布する方もネットにあるようだが他に移ったシリコンで滑ってしまうのが懸念される。
おっくんさんコメントありがとうございます。
たしかに、シリコンシーラントを使った縫目のシーリングは薄めに溶いてしっかり染みこませるのがコツだと思います。
濃いめの厚塗りは剥離しやすく重量増もばかにならないのでいい事ないと思います。
面で塗布する場合は滑るよりも張り付く方が問題になると思います。
逆手にとって縞模様に塗布することで滑り止めになったりします。
シリコンなのでいったん乾いてしまえば高温にも低温にも強く安定するのでうつったり溶けたりすることはあまりないと思います。