AZバイク用リチウムイオンバッテリーの長期使用レビュー

AZ バイク用バッテリー LITHIUM ITZ7S-FPレビュー:バイク用品
AZ バイク用バッテリー LITHIUM ITZ7S-FP

AZブランドのリチウムイオンバッテリー LITHIUM ITZ7S-FPをセローで二年間使用して分かったことを備忘録も兼ねレビューしたいと思う。

AZのバイク用バッテリー LITHIUMの 良い点 悪い点

2年間使用した経験を踏まえてAZのバイク用バッテリー LITHIUMの良い点悪い点をまとめると

  • 軽量コンパクト
  • 長期間放置後の始動性がいい
  • テスターなしでバッテリーの状態をチェックできる
  • バイク用バッテリーとして正常に動作する
  • 販売業者に直接質問できる
  • 寒い日の始動性が悪い
  • 価格が高い
  • 充電時の電圧管理がシビア
  • 充電器は専用品が推奨される
  • 鉛バッテリーに比べ容量が少ない
  • 純正バッテリーに比べ信頼性に不安がある

といったところである。

LITHIUMの良いところ

軽量でコンパクト

AZのLITHIUMに限らないがリチウムイオンバッテリーは鉛バッテリーに比べると同じ性能(まったく同じではない)の場合圧倒的に軽量かつコンパクトだ。

LITHIUM ITZ7S-FPの場合実測で531g。
セロー250の標準バッテリーGSユアサのYTZ7Sと比べると約1.5kgも軽い。

また、サイズもコンパクトになり幅と奥行は同じだが高さはLITHIUMの方が2cm低くなる。

LITHIUMは純正バッテリーに比べ高さが低いので上部にスペースができる

車体内のスペースに余裕が無いオフロードバイクにとっては十分なメリットだ。

長期間放置後の始動性がいい

LITHIUMは長期間放置しても放電が少ないようだ。

この2年間で長いときは2ヶ月以上バイクに乗らない期間があった。
バッテリーは車体に付けたままだったが問題なくエンジンをかけることが出来た。

2ヶ月以上開けたときには流石に一発始動とはいかなかったが2回セルを回すだけでエンジンがかかった。

長期放置後の始動性の良さはGSユアサの鉛バッテリーと比べても同等かそれ以上のものを感じる。

鉛バッテリーは少量の電気を少しずつ取り出すのに向くらしいのでイモビライザーなどが付いた車体だとまた結果が違ってくるかもしれない。

テスターなしでバッテリーの状態をチェックできる

LITHIUMは本体にインジケーター付いていてバッテリーの状態をチェックできる。

今ところバッテリーに問題がでたことは無いのでどの程度この表示を信用して良いのかはわからないがテスターを所有していない人や出先でのトラブルシューティングツールとしてあったら便利な機能だと思う。

バイク用バッテリーとして正常に動作する

バッテリーをLITHIUMに交換し2年間使った結果は鉛バッテリーと比べ低温時の始動性の悪さ以外特に問題なく動作してくれた。

また、長期間放置後の始動性や限界近くまで酷使した後のバッテリーの劣化具合などは鉛バッテリーに優るのでは?とまで感じた。

あくまで自分の場合。一般的には車体に接続したままの長期放置や過放電にリチウムイオンバッテリーは強くはないと言われている。

販売業者に直接質問できる

LITHIUMは日本の販売業者である岡田商事が取り扱う商品なので不具合などがあった場合に電話などで直接問い合わせすることができる。

LITHIUM購入後に電圧を計ると異常に高い数値が出たので岡田商事に電話して確認した。

異常な高電圧の原因はわからなかったのだがきちんとこちらの質問には答えていただけた。

ネット通販で手厚いサポートをうたっていてもサービスカウンターが国外にあるとなにかあったとき結局まともなサポートを受けられないことが多いので製造は海外だったとしても日本国内の販売業者が取り扱っているというのは商品サポートの面で大きなメリットだと思う。

LITHIUMの悪いところ

メリットの多いリチウムイオンバッテリーのLITHIUMだがデメリットももちろんある。

寒い日の始動性が悪い

これはAZのリチウムイオンバッテリーに限った話ではないようだがLITHIUMは寒い日の始動性が悪い。

GSユアサの鉛バッテリーも気温が0℃近くなると始動性の落ちを感じるがLITHIUMは5℃以下付近から顕著に始動性が悪化した。

雪が積もるような状況でLITHIUMの始動性悪化は顕著だ

AZバッテリーのQ&Aによるとヘッドライトやウインカーなどの灯火類を付けた状態で4~5分ほど放置することで始動性が回復するとのことだがヘッドライトとテールランプをLEDに交換している影響かキーオン後10分ほど放置しても複数回セルを回さないとエンジンがかからないことが度々あった。

寒い日は始動性が悪いことを前提にはじめから押しがけの要領でセルを回しエンジンをかけていたが特にオフロードではなかなか骨の折れる作業だ。

冬にキャンプした時に早朝なかなかエンジンがかからず雪が積もった土の上で必死に押しがけしたこともあった。

その時はかなりの回数セルを回したので過放電によるバッテリーの劣化が心配だったがその後も問題無く使えている。

価格が高い

LITHIUMは比較的高価格なGSユアサの鉛バッテリーよりも更に価格が高い。

LITHIUMはGSユアサの鉛バッテリーに比べ2021年8月現在ネット通販でおおよそ3割程度高く販売されているようだ。

機能と性能だけ見れば3割増しの価格が高いとは思わないがまだまだ発展途上のリチウムイオンバッテリーに安くない金額を払うことに多少の抵抗はあった。

充電時の電圧管理がシビア

AZバッテリーのサイトでもWebikeのAZバッテリーチャージャー特設ページでもしつこいぐらい充電圧の上限と急速充電などを行わないことについて言及がなされている。

リチウムイオンバッテリーは最大でも14Vほどの電圧で充電するのが適切であり、過電圧での充電はトラブルにつながります。
鉛バッテリーの充電に特化した商品の中には、「サルフェーション溶解」「回復充電」といった機能がある充電器がありますが、こういった充電器では過電圧となってしまうため、リチウムイオンバッテリーは充電できません
また、電圧が14.8V以上になり、充電電圧制御がついていない充電器で、リチウムイオンバッテリーを充電すると、過電圧となりトラブルを招く危険があります。

Web!ke 特設ページ https://www.webike.net/campaign/az_battery_charger/ より
2021年8月14日参照(太字は筆者)

充電圧は14Vが適切、14.8V未満で充電といった数字だけを見るとそこまでシビアに感じないがこれだけ言及するのはクレーマー対応といった意味合いだけではなくLITHIUMは充電圧、特に14.8V以上の高電圧に弱い特性があるのだろう。

充電器は専用品が推奨される

充電圧の管理のシビアさに関連するがLITHIUMの充電には専用の充電器が推奨されている。

Q.AZリチウムイオンバッテリーに従来(鉛)バッテリー専用充電器は使用できますか?

A:使用できません。リチウムイオンバッテリー対応充電器「AZ BATTERY CHARGER ACH-200」をご使用ください。

AZバッテリー http://az-battery.com/line-up/itz7s-fp/ より
2021年8月13日参照

鉛バッテリーに比べ容量が少ない

一般的にバイク用のリチウムイオンバッテリーは鉛バッテリーに比べて1/2から2/3程度の電気容量が割り当てられているようだ。

LITHIUMのITZ7S-FPの場合は対応するGSユアサのYTZ7Sに比べるとおおよそ2/3程度の電気容量になるようだ(正直計算が正しいか自信がないが電気容量が少ないのは間違いないようだ)。

リチウムイオンバッテリーの電気容量が少ない理由はおそらく鉛バッテリーと同じ電気容量にしようとすると価格が高くなりすぎて売れないというコストの問題が一番だろう。

また、大きな電力を効率よく取り出せるリチウムイオンバッテリーの特性によって少ない容量のバッテリーでも問題なく運用できるのだろう。

ただ、グリップヒーターのような電気を沢山消費するパーツやイモビライザーのようなちびちびと長時間電気を消費するパーツが取り付けられている場合は鉛バッテリーを利用するか価格は高くなるがより高容量のリチウムイオンバッテリーを選択したほうが無難かもしれない。

純正バッテリーに比べ信頼性に不安がある

歴史の長い鉛バッテリー特にGSユアサのような長く高い評価を維持してきたメーカーのものと比べるとどうしてもリチウムイオンバッテリーの信頼性には不安をおぼえてしまう。

ノートパソコンやスマートフォンに搭載されたリチウムイオンバッテリーが爆発したり燃え上がったりといった報道はよく目にするし、自分自身所有していたノートパソコンがバッテリーの膨張が原因で故障した経験がある。

AZのLITHIUMはLiFePO4(リン酸鉄リチウム)という安全性の高い素材を使っていると言うがやはり不安は尽きない。

今回購入したAZのLITHIUM ITZ7S-FPはこの二年間おおむね問題なく動作したがたまたま当たりを引いたという可能性もある。

まとめ AZのバイク用バッテリーLITHIUMはこんな人におすすめ

  • バイクを軽量化したい人
  • バッテリー周りに空きスペースを確保したい人
  • テスターなどでバッテリーの状態を自分でチェックできる人

スポーツ走行やオフロード走行などで少しでも車体を軽量化したい人には非常におすすめ。
鉛バッテリーを搭載しているバイクならばリチウムイオンバッテリーに交換することで1kg以上の軽量化を期待できる。

リチウムイオンバッテリーは鉛バッテリーに比べおおむねコンパクトなので電装品のカスタムなどでバッテリー周りに空きスペースを確保したい人にもおすすめ。

リチウムイオンバッテリーはバイク用バッテリーとしてはまだまだ歴史の浅い発展途上のバッテリーだと思うのでトラブルにあった場合に自力で対応できない人にはあまりおすすめしない。

商品紹介リンク

下記リンクから買ってもらえるとサイト運営費(主にサーバ代)の足しになるのでよかったら。

AZ リチウムイオンバッテリー LITHIUM ITZ7S-FP

セロー250純正バッテリーであるGSユアサのYTZ7Sに対応するリチウムイオンバッテリー。
鉛バッテリーに比べるとリチウムイオンバッテリーの軽さとコンパクトさは驚異的。

Amazonで買おうとすると代替品として安価なITZ5S-FPが表示される事がある。
ITZ7S-FPと寸法は同じなので使えなくはなさそうだが容量(Wh)が減っているので注意が必要。

AZ バイク用バッテリー LITHIUM PRO ITM7-FP

LITHIUMの大容量版。
GSユアサのYTZ7Sと同じサイズなのでセロー250に搭載可能だと思う(未確認)。

サイズが純正と同等になり重量も重くなるけれど冬のキャンプツーリングなどを考えると大容量化はとても魅力的。
最大の難点は価格が非常に高いこと。

AZ バッテリーチャージャー ACH-200

LITHIUM対応のバッテリーチャージャー。

LITHIUMは充電圧にシビアなようなので充電にはAZバッテリーから発売されているバッテリーチャージャーを利用するのが安心だろう。

HYバッテリー 二輪車始動用リチウムイオンバッテリー HY93-C

AZバッテリーのLITHIUM以外で気になっているリチウムイオンバッテリーはこれ。
他のバイク用リチウムイオンバッテリーに比べて高価だが日本製でホンダのアフリカツインなどにも採用されているらしい。

セロー250純正バッテリーYTZ7Sに対応するHY93-Cも用意されているがメーカー曰く

■取り付け可能なオートバイ
エンジンの種類が、「3気筒以上」のオートバイであること。
「単気筒」、「2気筒」のオートバイには使用できません。
だそうだ(アフリカツインて2気筒では…?)。

 

自分でバッテリーを交換するならテスターがあると便利。
最近は安いテスターがたくさんあるので1台持っておいて損は無いと思う。

激安小型デジタルテスター DT-830B
Amazonや楽天で検索すると色々な業者から販売されているみたいだけどモノは同じようだ。
Amazonで買うならDT-830Bで検索してAmazonから発送される中で送料込みで一番やすいの買ったら良いんじゃないかな。 欠点としてリード(検査棒)がすぐ断線する。
俺が買ったのも被覆が剥げて断線しそうになったのでホットメルトで補修した。  

ホットメルト(グルーガン)はこんなやつ。

OHM デジタルマルチテスター TDB-401
コンパクトで携帯に便利。
オートレンジなのでいちいち電圧の測定範囲とか調整する必要がない。
ただし、電流は測れない。 コンパクトで安いやつは電流が測れなかったりするけど電流測ることなんてめったに無いし初めの一台はオートレンジのやつが良いんじゃないかな。

 

交換時の記録はこちら

セローのバッテリーをAZのリチウムイオンバッテリー LITHIUM ITZ7S-FPに交換
フロントタイヤをツーリストに交換後に溝の口へテスト走行に行った時セルが回らなくなった。 その時はなんだかんだ無事エンジンをかけることができたのだが、その後もトラブルがありバッテリーを交換することに。 また同じバッテリーはつまらないのと軽量化...

コメント

  1. 匿名 より:

    容量に関しては特性が違うのでリチウムは鉛と比べて概ね5割増で使えますよ
    そもそも大きさを揃えれば桁違いですが、容量が同じくらいになるようなサイズで売られてるはずです